大正~昭和初期にかけて筑後地方の酒造りに使用されていた酒米「穀良都」。栽培の難しさから戦後は栽培が途絶え、幻の酒米となっていた。しかし平成八年、九州大農学部より穀良都の種籾12粒を譲り受けた醸造元は、四年の歳月をかけて一仕込み分の収穫を得ることに成功した。その穀良都を用い、当時の技術に忠実に復刻醸造されたのが、この酒である。
某雑誌に「燗に向く酒」として取り上げられているところ、まずは常温から味わってみる。くすんだ印象の微かな香ばしさと、米の落ち着いた味わいを感じる。さて、次は燗で…と台所に立つ。
あれ?気のせいか軽く酔ってないか俺。おいおい、まだ半合しか呑んでないのに。
…不思議に思いつつ、続いて上燗の熱々を口に運ぶ。ぷはーっ、甘みのあと酸がどわっときて米の味が加わり、それらがいっぺんにどぉーーんと暴れる暴れる。燗を一合ほど呑んだところでよい気持ちに。他の酒より酔うのが明らかに速いぞ。そうか、アルコール度数高いんだきっと…とラベルを確認すると「15度以上16度未満」。うーん、もっとあるように感じるけれどなあ。たぶん、古米を3割しか削っていない→酒中に含まれる諸々成分が多い→酔い中枢にHit!ってことなのかもしれない。
で、つまみ無しで日本酒を呑む私の意見。この酒の燗は、味が強すぎるように思える。そこで、一合入りの利き猪口に8分目ほど注いだところへ、細かめの氷をざっくり一掴み投入して呑んでみた。
う、う、美味い!!!!!!
味の基調は、ほのかな甘み。燗で爆発した味の多さは氷の向こうにたゆたうだけで、決してこちら側にやってこず、強い米の香りを残して胃の腑に落ちてゆく。邪道なのは承知のうえで、私にとっては夏向きの酒、と言い切ってしまおう。今年の夏は山廃オン・ザ・ロック。
三井の寿 井上合名会社 山廃純米穀良都
都道府県:福岡県
原料米:穀良都100%
精米歩合:70%
日本酒度:+1.0 酸度:1.7
アルコール度数:15.0~16.0
酵母:自社酵母(7号系)
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